というわけで、リュート作りの苦労話にはことかかない。
削りなおしたり、もういちどボンドをはがしたりなどは日常で、ちょっとしたミスぐらいでは、驚いたり嘆いたり悲しんだりもしなくなってしまった。
リュートができあがったらこれでブルースを弾こうと思っていたが、作る作業そのものがすでにブルースなのだ。
美しいではないか。リュートを作りながら、頭のなかではいつでも『9ストリングス・リュート・ブルース』が鳴っている。
そうそう。
結局、弦は9本とした。9ストリングス・リュートとした。ふつうの6弦ギターの下(高音部)3本を復弦にしてみよう、と考えたのだ。
ナイロン弦の復弦ギター、というのは見たことがない。ちょっとおもしろそうに思ったのだ。
おかげで、それはそれでけっこうやっかいな作業となったんだけど……。
ティーンエイジのころからギターが好きで、もう35年近くも弾いている。リュートの基本的な構造は、ギターと同じある。だから、作りながらも弦楽器のいろんなことがイメージできて楽しかった。想像は頭のなかにどんどん膨らむのだ。
と同時に、キットという決められたものであることが悔しくもあった。ここをかえたいと思っても、無理な場合もある。
それに、けっして安いキットではないんだから、もう少し材料にこだわってほしいものだ。
が、文句をいってもしようがない。楽器作りは、初めての挑戦なのだ。これを機に、つぎのことを考えればいいか。また来年も工作の夏がやってくるのだ。
作れば作るほど、キットではなく、自分のやり方で一から楽器を作ってみたい、と思ったのだった。