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おとなのずる休み
堀田貴之のおとなのずる休み 「ずる休み」という言葉に、心をびっとふるわせた人。そうです。いつまでも少年の心を持ったおじさんたちは、今日もずる休みをたくらんでいます。半日あれば、半日。二日あれば、二日。一週間あるなら、一週間。一か月暇なら、……。堀田貴之が、今日もずる休みの旅に出かけます。
第二十九話 1月10日更新
おいしい手造り“石窯”(前編) 無限のおいしさを求めて、まずは肉体労働である
<1>
江の川のうまい思い出
『カヌーの里おおち』(※1)のキャンプ場にスタッフが手造りした石窯。この窯のなかで、ピザはおいしそうに音をたてるのだ
「アヂヂヂヂ! しかし、うまい! しかし、アヂヂヂヂーー」
そんなふうに大声で叫んだのは、6年も前のことである。島根県美郷町の江の川(ごうのかわ)沿いにある『カヌーの里おおち』(※1)でのことだった。
『カヌーの里おおち』は、目の前を流れる江の川でカヌーの講習やツアーなどをおこなう体験施設。そして、そこには森に囲まれた広いキャンプ場もある。
そのキャンプ場の一角に、ある日、こつ然と石窯が現れたのだ。スタッフの手造りだ、というではないか。
さっそくピザを焼いてみよう。
色めきたった僕は、スタッフの迷惑も顧みず、すぐさま石窯に薪を放り込み、火を熾し、窯の温度を上げ、そして、ピザの準備へと取りかかったのだった。
何度も何度も唇をやけどしてしまうほど、そのうまかったこと、うまかったこと。
電気オーブンで焼いたピザはすぐに冷めてしまうような気がするけど、石窯で焼いたものはいつまでも熱いのだ。それに、かりっと焼けた生地もまた、音をたてるおいしさだ。
石窯ピザを焼くためにまずは生地を作り、その上に好きなものをトッピング。その間に、火を熾して、窯を暖めておく
窯がじゅうぶんに熱くなったら、まん中の薪をまわりへ押しやり、そのスペースにピザをおく
焼くのは、ほんの2分ほど。焼けたら、やけどを恐れず、すぐさま熱々を口へ放り込むべし そのとき、『カヌーの里おおち』スタッフから、石窯のくわしい造り方を聞いた。とはいっても、彼らもはじめて造ったわけで、試行錯誤の繰りかえしだったという。ノウハウを説明できるほどじゃない。
要は、なかで焚き火ができるような石窯を造ればだいたいOKだろう、という話で終わったのだった。
いつか、僕も造ってみたいなあ、とそのときは強く思ったのだ。

ところが、そんな話もすっかり忘れていたのである。忘れることにかけてはだれにも引けをとらぬわたくしである。デリバリーのピザもうまいなあ、などと思っていたのだ。
ところが去年の夏、長野県に住む友人のけんちゃん(高野賢一)とビールを飲んでいるとき、うまいピザを食いたいなあ、となぜがピザの話となり、ならば石窯を造ろうてな話に発展したのだった。
けんちゃんの住む家の庭ならじゅうぶんにスペースもあるし、家では薪ストーブを使っているから、薪のストックもいっぱいある、という。
これで、話は決まったのだ。
(※1)『カヌーの里おおち』http://www.shimane-misato.jp/canoe/
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