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おとなのずる休み
堀田貴之のずる休み日記 「ずる休み」という言葉に、心をびっとふるわせた人。そうです。いつまでも少年の心を持ったおじさんたちは、今日もずる休みをたくらんでいます。半日あれば、半日。二日あれば、二日。一週間あるなら、一週間。一か月暇なら、……。堀田貴之が、今日もずる休みの旅に出かけます。
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第二十六話 11月15日更新
海草藻場で、ジュゴン・トレンチを探し歩く ジュゴンを抱きしめたい
(写真=細川太郎)
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ジュゴンの海を目の前にして
おおおお、ジュゴンが! ではない。これは、ジュゴンがもし網などにかかっていたらどのように助けるか、を実地研修会するために作られた等身大のレプリカである。レプリカは、細川太郎さんが作製した(写真=細川太郎)

南の島へくると、体の動きがなんだかのったりと遅くなる。もちろんそれは、南の島にいる、と頭のなかでわかっているからなんだけど、それだけではなく、暑さや湿度の高さや空気の濃さや緑濃い景色が動物の動きを遅らせるのかもしれない。
なぜなら、そうしたゆっくりとした動きは人間だけではなく、水牛や犬も南の島ではまるでそれが風景の一部であるかのようにだれきっているのだ。昼下がりのだれもいない小さな港では、子犬でさえも退屈している。
海風の時間が流れているのだ。南の島では。
と思っていたら、海のなかに、もっとのったりと過ごしているやつがいた。
ジュゴンだ。

等身大のレプリカを使って、沖縄本島・中北部の各漁協で、ジュゴン・レスキューの実地研修会が開催された。実地研修会のほか、マニュアルやビデオ、下敷きなどを作り、ジュゴンのレスキューに取り組んでいる(写真=細川太郎)

海生哺乳類のジュゴンは、海牛類に属している。現存する海牛類は、ジュゴン科1種とマナティー科3種の合計4種。
西太平洋からインド洋の熱帯、亜熱帯の浅い海域に棲息している。西太平洋の分布域では、沖縄本島周辺の海域が北限にあたる。分布域は広いが、生息域が不連続で、それぞれの集団(個体群)が地域固有のものである、と考えられている。
現在、地球上でのジュゴンの推定生息数は約10万頭。その80パーセント前後がオーストラリア周辺の海域に集中している。
沖縄本島周辺では、わずか数頭が確認されているだけだ。その生息数は、10頭から20頭ぐらいでは、といわれている。
なんだか絶望的な数字である。
そんなことを知れば知るほど、沖縄のジュゴンに会いたい、という思いが強くなってくる。
しかし、この10年の目視例は、わずかだ。1998年、1999年には、それぞれ50件以上あったが(それでもわずか50件である)、2005年には、たった12件しかない。
ジュゴンを見るには、一生分の運を総動員してもかなわないだろう。

そんなジュゴンの住む海へ行ってみよう、と11月のはじめ、沖縄本島のとある海岸へとやってきた。
とある海岸、としか書けないのは、忘れてしまったからではない。沖縄の地名は独特で、漢字がむずかしく、書けないばかりか読みもわからなかったからだ(ということにしておこう)。

案内をしてくれたのは、細川太郎さん。海を感じさせるいろんなアクセサリーのデザインから、海生哺乳類のレプリカ制作までをおこなうデザイナーである。
そして、『ジュゴンネットワーク沖縄』(※1)の中心的スタッフとして、暇を見つけてはマスクとノートを手に海草藻場(うみくさもば)へと向かい、食(は)み跡調査を続けている。

『ジュゴンネットワーク沖縄』の細川太郎さん。12年前にジュゴンの姿を探し歩いたのがきっかけで、いまでは『ジュゴンネットワーク沖縄』の中心的メンバーである

ジュゴンは偏食が激しく、海草しか食べない。
海草は、コンブやワカメ、あるいはサラダなどでわれわれの食卓に上がる海藻とは違い、海に生える種子植物だ。一度陸上に進出した植物のうち、ふたたび海に里帰りした仲間だ、といわれている。クジラやイルカ、それにジュゴンと同じような進化の歴史を持っているのだ。
ジュゴンは、そんな海草しか食べないのだ。沖縄では、ジュゴンは、ジャンとかザンと呼ばれている。そして、海草はジャングサ(ジュゴン草)と呼ばれているのだ。
その海草がどっさり生えている海底を泳ぎ見て、ジュゴンの食み跡を探そうとしているのだ。
海草は、どこにでも生えているというわけではない。本島では、戦後から現在までに、埋め立てと赤土の流失で、かなりの藻場を失ってきた。海草藻場の消失は、ジュゴンやウミガメから彼らの食事を奪うばかりではなく、魚やエビなどのさまざまな生物もまた、産卵や生育の場を縮められているのだ。

細川太郎さんデザインのジュゴンTシャツ。このTシャツほか、細川さんデザインのジュゴングッズを『海想』(※2)よりプレゼント。 ジュゴンのことがよくわかる本や資料の数々。中央上から時計回りで、『ジュゴンデータブック』(TBSブリタニカ)、うみくさシートつき『ジャングサウォッチ・ハンドブック』(日本自然保護協会)、ジュゴン下敷き(環境省)、『沖縄のジュゴン保護のために(資料集)』(ジュゴンネットワーク沖縄)、『ジュゴンのはなし−沖縄のジュゴン』(沖縄県文化環境部自然保護課)
(※1)『ジュゴンネットワーク沖縄』http://www.ii-okinawa.ne.jp/people/higap/index.html
(※2)『海想』http://www.kaisou.com/
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