富士山で3人
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| ■登山道に捨てられたアウトソール――2007.9.25 谷川岳の天神尾根に靴底が1個転がっていた。下れば1時間でロープウェイだから、この靴の持ち主は危険な状態にはならなかっただろうが、ゴミを残していった |
私は登山靴が突如壊れるという事故を何回か体験している。そのうちの2回は富士山だった。
1回目は1999年の8月、富士宮口の新五合目で出発の準備をしていたら、ひとりの参加者の靴底がパランとはがれた。見てみるともう一方もはがれかかっている。極細のロープを常備していたのでそれで縛りつけて登山は完遂できたが、私には始めての経験だった。
2回目の富士山は2006年の8月、台風が富士山に接近遭遇した日だった。吉田口登山道の八合目で一夜を過ごして台風一過の快晴を期待していたけれど、翌朝になってもまだ台風最接近のただ中だったので、待ちきれなくて下りにかかった。そのとき、メンバーの2人が、次々と靴底をはがしたのだ。
なぜ富士山で、というのはすぐに推理できた。私の計画書に書いた一文がその引き金になっていた。富士山は火山礫の登山道なので靴が傷みやすい。そこで「できれば傷んでもいい靴でおいで下さい」と書いたのだ。
傷んでいい靴といったって、私のようにメッシュの運動靴というわけにはいかない。こまかな火山礫が靴の中に入れば、足を痛める。
そこで最近はいていない古い登山靴を引っ張り出して、ダメになったらダメでいい……とはいてきた。おかげでドラマチックにダメになってしまったというわけだ。
昔、学生時代に山に出かけたときには、針金とプライヤーが必携だった。いろんなものを応急的に直したが、登山靴も修理した。
当時は登山靴は革製で、ビブラムソール(イタリア・ビブラム社のゴム底)を張ってあった。下宿生活の新人部員が安物の靴をはいてきた。で、そのビブラムソールが……というより、靴の本体側の縫い目がゆるんで、1週間でバラバラになりかかった。靴を針金でグルグル巻きにして下山できたが、それは靴全体が崩壊する動きだった。
富士山ではがれた靴底はそれとはちがう。ゴムのアウトソール(靴底)はそのままで、本体との間を埋めていたミッドソール(中底)が泡のごとく消えていた。











