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毎日が山歩き 案内人 伊藤幸司(糸の会・登山コーチングシステム)  50歳を過ぎてからでも楽に山歩き、愉しく山登り、のんびり山遊びが楽しめる毎日を紹介します。
日本365名山  

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【研究26】神山(箱根山)

箱根火山

いわゆる「箱根」は箱根火山の内部に広がっている。かつて富士山がまだ標高2,700mを越える程度の高さだったと考えられている数万年前に、箱根火山も同じような高さの山として隣り合っていたといわれる。

富士山はその後噴火を繰り返してどんどん成長したのだが、箱根火山は山体中央部が陥没してしまう。西側、箱根峠から長尾峠にいたる芦ノ湖スカイラインや箱根スカイラインがたどる稜線がそのとき残された古期外輪山で、三国山(1,102m)がある。


■箱根の中央火口丘――1998.9.13
明星ヶ岳中腹の大文字のところから箱根山の内部を展望。夕陽のところにあるのが台ヶ岳、左に登っていって、神山と駒ヶ岳。神山の右側小さな盛り上がりが早雲山。

北端の金時山(1,213m)から東に向かって明神ヶ岳(1,169m)、明星ヶ岳(924m)と続く稜線は車にわずらわされない登山者の領域だが、それも古期外輪山のつながりとなっている。さらに古期外輪山の南側は箱根ターンパイクと重なる稜線で、白銀山(993m)などがある。


その外輪山に囲まれた部分が陥没部のカルデラで、南北約11km、東西約8kmのおにぎり型となっている。カルデラの西側には長大なカルデラ湖があったというが、中央火口丘神山の大涌谷の噴火で分断され、南側の芦ノ湖と、北側の仙石原とに分けられたという。そのカルデラ湖から流れ出る早川がカルデラ内を北に向かい。東に転じて箱根湯本から相模湾へと下っていく。

その後、カルデラ内で噴火が起こり、南部地域に新期外輪山と呼ばれる内側の山並みが現れた。屏風山(948m)、鷹巣山(834m)、浅間山(802m)、湯坂山(547m)などの連なりによってカルデラ南部に須雲川が生まれ、この谷に沿って東海道が開かれた。


最後に噴火したのが中央火口丘。それはカルデラ内をほぼ南北縦断するというかっこうで、北から台ヶ岳(1,045m)、神山(1,438m)、駒ヶ岳(1,327m)、二子山(1,091m/1,065m)と並んでいる。そのひとつ、神山の標高1,438mは箱根火山の最高峰であるところから、神山(箱根山)と書くのが正確ではないかと思われる。

冬こそ箱根へ

箱根は一大観光地で、中央火口丘にはケーブルカーやロープウェイがかかって山の上まで観光地になっている。ただ神山だけがわずかな登山専用領域として残されている。そのため最初はあまり期待せずに出かけたのだが、神山の標高は海辺の山としては意外に高くて、丹沢の塔ノ岳(1,491m)とほぼ並び立つ、というところにこの山の本領があった。

丹沢の最高峰は蛭ヶ岳(1,673m)でちょっと別格だけれど、海側の山並みでは塔ノ岳が主役を張っている。伊豆の天城山(万三郎岳)が1,406m、沼津・愛鷹山の越前岳が1,504mだから、神山(箱根山)は太平洋側から見たときの富士山の前衛として堂々と並び立つ山のひとつとなっている。


標高725mの芦ノ湖から約700mの標高差で神山〜駒ヶ岳がそびえ立っているのだが、山頂部に立つと冬は世界がガラッと変わる。真白の富士の嶺から吹き下ろしてくる北西風のためか、霧氷が枯木に花を咲かせる。雪が降ればそれが溶けずに残るから、雪山の雰囲気もととのって、冷気に身をさらすことになる。海側の温暖な冬景色から、冬将軍の支配する世界へとワープする感じが味わえる。もちろん、毅然としてそそり立つ富士山が登るに従って指呼の間に近づいてくる。神山はなかなかドラマチックな山といえる。


■大涌谷上部からの富士山 ― 1999.11.18
いまは通行止めになっているが、大涌谷の噴気孔をくぐり抜けて登ると、富士山が正面に立ち上がってくる。

神山に登るルートとしては箱根ロープウェイの大涌谷駅から冠ヶ岳を見上げながら登るのがいちばんいいのだが、有毒ガスの発生によって登山道は閉鎖されている。次善の策としては箱根登山鉄道の早雲山駅から登って大涌谷からの道と合流するのがいい。いずれも北側から登るルートだ。

道標に従って冠ヶ岳に登り、引き返して神山に登る。このあたりが雪や霧氷のときには見応えのある景色となる。


神山からいったん下って、もう一度駒ヶ岳に登り返すと、明るい山頂に出る。駒ヶ岳駒ヶ岳ケーブルカーは廃止されたが、駒ヶ岳ロープウェイがあるので、真冬でも観光客がやってくる。富士山も見えるけれど、ここはむしろ芦ノ湖の展望台というべきところだ。

じつはロープウェイにほぼ沿って下る道があるのだが、これは急坂を一気に駆け下りるような道で、楽しいけれど、あまり推奨されていないようだ。道標があったら下れるという疑問符付きルートとなっている。

神山〜駒ヶ岳にはほかにも何本かの道があるけれど、まずは早雲山→冠ヶ岳→神山→駒ヶ岳→(ロープウェイで)芦ノ湖というルートに帰結する。

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