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海開き、といえば夏の海水浴。
といえば、浜辺にかき氷の旗が風にたなびいて、浮き輪かなんかもった水着の女の子が、なにかを待っているような雰囲気で砂の上にシートを広げ、寝そべってかき氷を食べたりする。その様子をうかがうかのように、日焼けした遊び人風なおにいさんが、話し相手を求めてあっちこっちうろうろさまよっている。波打ち際では、ちびっこが無邪気に走りまわり、いかれた音楽がお祭り気分を盛り上げる。それこそ浜は、アシカのコロニー状態なのだ。
「粋な出逢いがありそうな、海辺の社交場がわくわくオープン」と、いった妄想もふくらんで、若者たちを夏の海辺に誘いだすのである。 |
| 暖かい沖縄は、それこそ夢のようである。青い海、白い砂浜、赤いハイビスカスという派手な海開き3点セットがそろっている。早々と、4月には海開きがおこなわれる。リゾートホテルや人工ビーチでは、いかにもといった演出で若い観光客にアピールしているのだが、地元に暮らしているものとしては、恥ずかしさと違和感があってどうにも落ち着かない。だから、そういうところへはあまり行きたくない。できればもっと原始的で野性味のある海遊びのほうが楽しいのである。 |
“うちなー(沖縄)”本来の伝統的な海開きとは……。
旧暦3月3日(ことしは4月19日)が“浜うりー(浜下り)と”いう海開きの日で、その日は女性たちの節句と決まっている。この日、浜に下りて海水に触れることが、身を清め健康祈願になる。だから、ご馳走を作って浜遊びをする。要するに女性のためのピクニックデイというわけだ。古い時代には、重箱や泡盛や三線を持って、浜の木陰で女性たちの大宴会としゃれ込んだそうだが、いまでは春の磯遊びや潮干狩りすべてを浜うりーといって、老若男女が海の恵みに親しんでいる。
ちょうどこのころから水温がぬるみ始め、潮の干満のリズムが夏の潮にかわるので、大潮の昼の干潮時には大きく潮が引くようになる。すると、さんご礁の広大な干潟が現われる。
春は海藻の季節だから、スヌイ(モズク)やアオサ(ヒトエノリ)やモーイ(天草)などもたくさん採れる。リーフエッジの波打ち際まで歩いて行けばサザエやタコがいる。豊かな自然が保たれた干潟には、どこも海の恵みがあふれているから、磯遊び人たちにはたまらない季節がやってきたというわけなのだ。だから、浜うりーといえば「女性の御供だよ」といいわけしながら。男たちも喜んでついていく。 |
磯に日陰はないから、帽子やクバ笠をかぶり、手ぬぐいを首に巻いて日差し対策をする。磯足袋をはいてサンゴやウニの刺から足元を守り、海の幸との出遭いを求めて潮の引いた干潟をあっちこっちうろうろ歩く。町の若者がわくわくする期待とはすこしちがうけれど、開放感があって気持ちがいい。シークヮーサーの花が咲くころに、漁師とはちょっとちがう異風な人たちが浜にたくさん現われる。それが、沖縄の海開き。
日本全国おなじ海開きでもスタイルはいろいろ、同じわくわくでも出合うものもそれぞれちがう。
だけど、いつでも探し物は浜にある。どちらを取っても海辺は楽しいところなのだ。 |
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